ドラム×音楽×ミニマリズム

主に20年近くドラムを続けてわかったことを発信しています。心理学・物理学・ミニマリズムなどを切り口にして、「楽器を演奏すること」を掘り下げて書いているのでドラム以外の楽器をプレイする方たちにも何かの参考になればと思います。【ジャンル】ドラム、音楽理論、ミニマリズム、時々書評や趣味など

【スポンサーリンク】

「複調」音楽は面白い

【スポンサーリンク】

今回は音楽理論の中でも、特に調性、つまり「キー」の話をメインにしたいと思います。そしてその中でもなかなかマニアックなトピックである「複調」について書いていきます。この「複調」、英語でいうと「ポリトーナル」というらしいですが、私はこの不思議な響きが大好きで、昔は作曲によく使ったりしていました。

 

まずは論より証拠ということで…試しにお手元に鍵盤がある方は以下の例を試してみてください。

【例1】
右手:Bメジャーコード/左手:Cメジャーコード
【例2】
右手:Cメジャーコード/左手:Aメジャーコード

【例3】

右手:Cメジャーコード/左手:F#メジャーコード

 

…どうでしょうか。この他にもいろいろありますが、要は「割と遠い」関係の調のコードを同時に弾いてみるというのがポイントです。ここで「割と遠い関係」と書いたのは、「サークル・オブ・フィフス」的に考えた場合の遠い調のことです(この調の仕組みについて説明していると長くなるので今回は割愛します、すみません)。

 

で、弾いてみてわかったかと思いますが、なかなか鮮烈でマニアックな響きになるためか、この手のコードの使い方はロックやポップスでは殆ど聴いたことがありません。じゃぁどこで使われているかというと、クラシックにはその起源がみられます。

もともとクラシックでは「近代クラシック」という時期に分類されるドビュッシーあたりから現れてきたらしいですが。

 

クラシックで「複調」といえば…私の大好きなストラヴィンスキーの「春の祭典」。この曲中で和音を連打する有名なパートがありますが、ここは複調ならではの破壊力ですね。

www.youtube.com


そして、クラシックで紹介したいのが、もう一人、存命してた年代は2006年までと、割りかし最近のクラシックの作曲家、ジョージ・リゲティ

リゲティ民族音楽をクラシックに取り入れた人としても知られてますが、タモリ倶楽部的なトピックとしては…リゲティといえばメトロノームを100台使ったポエム・サンフォニックでしょうか(これは調性は無いですけどね!)。

www.youtube.com


そしてリゲティで複調の音楽のおそらく有名な曲はこれ…その名もピアノ練習曲集 「無秩序」。

www.youtube.com

 

この曲の調性はは右手がCメジャー、左手がBメジャーという凄まじい代物。CメジャーとBメジャーは、お互いが遠い関係(サークル・オブ・フィフス的に)の調なのでかなり不思議な雰囲気をかもしだしてます。ポップスの簡単な歌伴程度しかピアノが弾けない私からしたら、作る人も弾く人もどんな頭の構造をしているのやら。

というわけで調性がまったくない無調音楽ほどではないけど、どこか別の世界へトリップできるような複調音楽でありますが…最近こんな面白いトピックが。

以前にジャスミュージシャン・文筆家の菊池成孔氏が自身のラジオで、オーストラリアのラッパーのイギー・アゼリアの「ファンシー」の曲の構造について取り上げていました。

 

www.youtube.com



この曲の「I'm so fancy~」の部分がとても興味深く、ベースラインのキーがCマイナー、メロディラインのキーがE♭メジャーなんです。

ちなみにこの両方のキーの調合(フラットの数)は「3つ」なので調合的には同じなんですが、これがだいぶエポックメイキングな作品のようです。

上記で紹介したクラシックと違い、トラックの音数は少ないのでぼんやり一聴すると普通に聴こえますが、ベースがマイナーキーで歌メロがメジャーキーでありつつも、ド頭の瞬間はメジャーコードなのです。この「ド頭」というのはまさに、この間書いた、音楽の「微分」です。(詳しくはこちの記事を) 

 

www.drum-lesson.net

 


このように曲を微分、つまり瞬間できりだすと、ド頭はメジャーコードの響きですが、だんだんメジャーキーとマイナーキーが同時に溶け合ってていく不思議な感じを体験できます。

ただ調合的にフラットの数は同じなので上記に挙げたようなクラシックみたいな強烈な響きは無いゆえポップスとしてありな感じなのでしょうか。

 

というわけでまだまだ作曲における調性の可能性はありそうです。ただやりすぎるとアバンギャルドな感じになるので、上手く隙間をついた感じの曲がこれからも出てくるかもしれません…ということですね。

ではでは。