ドラム×音楽×ミニマリズム

主に20年近くドラムを続けてわかったことを発信しています。心理学・物理学・ミニマリズムなどを切り口にして、「楽器を演奏すること」を掘り下げて書いているのでドラム以外の楽器をプレイする方たちにも何かの参考になればと思います。【ジャンル】ドラム、音楽理論、ミニマリズム、時々書評や趣味など

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長い曲の中に見るミニマリズム

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 今回は音楽評とミニマリズムの話。

「どうせミニマリズムってことは1分の曲とかを礼賛するんだろ?」

とお思いの方、今回はその真逆です。つまり「長い曲」についてです。

 

まずロックやポップスに比べて歴史のあるクラシックやジャズでは10分や20分の曲はザラ。そして、曲構成にはある程度ひな型のようなものがあり、「テーマ→展開→テーマ」というサンドイッチのような展開が王道とされているようです。これに対してロックやポップスはプロモーションの兼ね合いもあり、4分から5分台の曲が多いです。

 

しかし、私は長い曲が好きです(だからプログレが好きなのです笑)。先日の記事でも書きましたが映画や音楽というコンテンツは人間が作ったフィクション、つまり虚構です。

 では人間はあえてなぜそれを好んでたしなむのかと考えれば、その世界に没入したいからだと思います(小難しい言葉でいえば「投影」…つまり自分の中にある色んな気持ちをそこに重ね合わせたり、投げかける、みたいな感じですね)。


なので10分近い曲だと、その世界に浸るにはサイズがちょうどいいのです。
しかし普段4分や5分のサイズの曲を聴く習慣しかない人は口を揃えて、「長いと飽きる」といいます。
もちろんそれも一理あります。それ故にロック、ポップスで長い曲を作るのは非常に難しいのです。
そんな中で曲紹介したいのがこれ。「GENESIS OF MIND~夢の彼方へ~」

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V系音楽のレジェンドでありパイオニアであるLUNA SEAの、1994年発表のMOTHERに収録されてます(ちなみに私はLUNA SEAの曲ではダントツで一番好きです)。



長い曲といえば…プログレッシヴメタルの大御所・ドリームシアターが有名ですが、この曲にはドリームシアターのような早弾きも変拍子もテンポチェンジもポリリズムもありません。しかし10分近くあるのに何度聴いても飽きないしグイグイと曲に引き込まれます。

それはなぜかと考えると…曲展開の絶妙さと、無駄を一切省いたアレンジと各パートの音の存在感なのではないかと。そう、ここに長尺の曲の中のミニマリズムを感じます。

まず何はともあれ曲の構成が好きです。
もちろん通常のAメロ~Bメロ~サビという構成は一切なし。ただしこの構成を踏襲しないと、ただ小曲を断片的に並べてお終い、みたいに楽曲はとっちらかってしまう可能性が高く、聴く側はその曲の世界に入り込めないから飽きてしまいます。

 

しかしこの曲にはいろんな「仕掛け」があるように思います。

この曲は大きく分けて前半部と後半に分かれていますが、前半のラストに伏線のように出てくる以下のコード進行のループ

Em→C→D→Am


このモチーフが後半のパートに繰り返されながら徐々に展開していき、曲の最後でピークに達してひっそりと終わりを迎えます。

また絶妙なのが、キーの使い方。出だしはAmのキーが主体ですが、普通のAmスケールをちょっといじったAドリアンスケールを使っているところに注目したいです。このスケールは、「ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ♯、ソ」という音なので、実質的にはEmのスケールと同じです。なので後半のキーであるEmのキーへと自然に移行します。

 

このように各パートのつなぎ目をあえてぼかすことで曲の中に没入しやすくしているような仕掛けがあるように思いましたが、それだけではないようです。それが前半部分の調性の使い方。 

前半部分はずっとAmではなく、AmキーとF#mキーが交互に繰り返されます。AmからF#mへの転調は少し遠いところへ行くような感じを受けますので、この両者をいったり来たりすることで徐々にこの曲の世界に引き込まれる感じになるのでしょうか。

 

という感じで細部まで聴きどころ満載のこの曲、バンドで演奏出来たら気持ちいいだろうなぁ…なんて思いました。

また長い良曲を見つけたらご紹介します。というわけで今回はこの辺で。

ではでは。